研究概要 |
本研究では,幼児の身体活動量を増加させ身体活動意欲を形成するために,以下の4つの課題を設定し遂行した. 1.幼児における身体活動量と運動能力の関係:運動能力では4歳後半から男女差がみられ,女児では運動能力が高低に二極化する傾向が認められ,身体活動量の多寡が運動能力に影響を及ぼすことが示唆された. 2.幼児における身体活動評価尺度の開発:「よく動く子」の概念を具体化するための調査から尺度項目を収集し,それをもとに尺度項目を決定し,信頼性と妥当性の検証を行った.その結果,「プレイ」「リーダー」「チャレンジ」「ソーシャル」の4因子15項目で構成される「子どもアクティビティ尺度」が開発された. 3.幼児における身体活動量増強のための介入と検証:行動科学の理論と技法に依拠し,活動量増強をねらいとした「動いてみたくなる」短期的プログラムを作成し,愛知県R幼稚園において介入を行いその効果を検証した.環境,保育者,親からのアプローチを複合させた今回の介入構想は,特に非活動群への効果が顕著に見られ,幼児の身体活動量増強の観点として有用な知見が得られた. 4.「こころとからだで表わす」プログラムの実践と考察:身体表現活動を核にした保育実践をもとに,幼児におけるこころとからだの相互作用を検討し,プログラムの意義を明らかにした.
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