研究概要 |
本研究では,千葉ニュータウン東部の印西市千葉ニュータウン中央駅周辺に住む108世帯を対象にして,休日(2001年11月18日)と平日(同11月19日)の生活時間と生活空間のアンケート調査を通し,東京の東部に住む専業主婦(60名)と就業主婦(48名)のライフ・スタイルの違いを明らかにしようとした。対称世帯の属性をみると,夫婦とも殆どが30〜40歳代の高半歴核家族世帯であり,夫の職業はホワイトカラー系が過半数を占め,3分の1の夫は東京都心地区へ,同じく3分の1の夫は千葉県西部へ通勤しているが,東京都心を越えてさらに西側の地域へ通勤する人もみられる。就業主婦は,グレーカラー系の職業に就くパートタイマーが9割を占め,通勤先は千葉ニュータウン周辺が殆どである。これは,ニュータウン内で就業する人が殆どなく,多摩ニュータウンなどに比べ千葉ニュータウンでは就業機会がさらに一層少ないことを示すものである。仕事と通勤に1日の生活時間の3分の1がとられる就業主婦は,専業主婦に比べ,その分だけ家事,子育てにさく時間が少なくなっている。専業主婦と就業主婦の間では,家事の時間で約2時間,睡眠時間で約30分の違いがみられ,多摩ニュータウンでの調査(杉浦・宮澤,2001)とほぼ同じ結果となっている。とくに専業主婦の買物先は,千葉ニュータウン中央駅周辺のスーパーマーケットに限定されている。こうした購買機会の少なさも,ニュータウンに住む主婦の生活の単調さを生み出している。専業主婦の9割以上が過去に就業経験があるが,そのうちの7割の主婦がニュータウンへの転居と同時に仕事をやめている。千葉ニュータウンの転居は,専業主婦化と非常に強い関係があるといえよう。
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