研究分担者 |
原田 規章 山口大学, 医学部, 教授 (70116747)
涌井 忠昭 (湧井 忠昭) 宇部フロンティア大学, 短期大学部・健康福祉学科, 教授 (40220850)
荒巻 輝代 宇部フロンティア大学, 短期大学部・健康福祉学科, 教授 (40141692)
岩本 美江子 山口大学, 医学部, 助教授 (80034932)
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研究概要 |
高齢社会の進行とともに,高齢農業従事者の疲労とその軽減対策は農村保健における重要な研究課題となっている。本研究においては,「農業従事者のための疲労に関するアンケート調査票」を用いた山口県大島郡内の柑橘類栽培農家を対象とした疲労調査結果を踏まえ,高齢農業従事者の健康を規定する生活環境要因について,食習慣と高齢者の健康の問題,農作業における疲労軽減対策も含めたQOLに関わる生活要因を明らかにし改善の方策を明らかにすること,また,食生活を含めて農業従事者のための疲労に関するアンケート調査票を確立し普遍化することを目的に研究を進めた。 調査は大島郡内の農業従事者(柑橘類栽培農家)を対象に簡略版疲労調査票を作成し,当該地域で毎年実施されている基本健康診査に合わせて疲労調査を実施した。健診受診者のうち高齢農業従事者約300名を対象にアンケート調査を実施し,健診結果に基づく健康状況も含めた生活環境要因と疲労との関連について解析の結果,農作業による労働負担と疲労との明確な関連性が示され,柑橘類栽培従事者の疲労状況には男女で異なる傾向がみられた。農作業の量的負担要因より質的負担要因の方が疲労に対してより強い規定要因となりうること,社会的支援は疲労軽減に有効となりうることが示された。また,「農業従事者のための疲労調査票」は柑橘類栽培従事者の疲労調査とその規定要因の検討に有用であると考えられた。 柑橘類栽培農家の疲労状況の特徴・問題点を踏まえた疲労軽減のための支援システムの検討,食生活を含めた生活環境の中における高齢農業従事者の健康問題の改善の方策について総合的な検討を行うためには,疲労を規定する生活要因についてさらに調査研究を行う必要があると考えられた。
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