働く場と接続された科学教育の教育内容編成を検討するため、現代社会における廃棄物処理に関連した仕事を取り上げ、そこでの労働が維持可能な社会の実現に向けてどのように位置づけられるのかを学ぶ科学教育を検討した。人間のさまざまな活動もその本質は自然界における物質とエネルギーの流れのひとコマである。そのことを、自然科学の成果に基づいて科学的に理解しておくための教育内容を考察した。その成果の一部は、環境問題を考えるための小学校高学年から中学校初学年向けの図書において活用された。 本研究では、北海道大学環境保全センターの職場を調査し、ビデオの録画収集を行い、大学の研究室からのさまざまな廃液の処理工程を教材として活用する検討を行った。廃液処理工程で出されるスラッジの処分方法については、北海道の産業廃棄物処理業者が維持・管理する遮断型処分場を取材した。これらの施設での工程を追跡することで、特定産業廃棄物に分類される有毒な物質の流れを理解することができる。収録したデータを使って、教育内容編成の検討を行った。 上記検討とともに、学校現場の教員と協同で授業プランづくりを進めるためのシステム構築も行った。授業プランづくりのためのシステム構築についての研究成果は、全国レベルの学会で発表するとともに、教育雑誌において簡単に紹介した。 本研究の現時点での成果は教育内容編成の段階にある。取材したデータを編集し、今後、すみやかに授業プランとして具体化していく予定である。
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