研究概要 |
特別な機器を使わずに,パーソナルコンピュータおよびCCDカメラ1台を用いて,タッチタイピング練習を支援するシステムの構築を目指している.本年度は,このシステムに求められる機能の1つ「タイピング練習者の目の向きの認識」を目的に研究を進めてきた.研究によって得られた知見等を次に示す. 1.目の向きの特徴の抽出は,頭髪や眼鏡等の影響が少ない場所,および目の向きの特徴を表す場所で行う必要がある.練習者の頭部画像の水平方向および垂直方向の濃度ヒストグラムを交互に用いることによって,特徴を抽出する領域を局所化する新しい手法の提案を行った. 2.タイピング練習者の正面画像から眼部領域を取り出す方法の検討を行った.その結果,モザイクテンプレートとマッチングを行うことにより,練習者の正面画像から,頭部,顔面中心部,眼部の順に抽出を行う手法を提案した.実験の結果,頭部および顔面中心部はほぼ確実に抽出できることが明らかになった. 3.抽出した眼部領域内を真円の上部が欠けた形の黒目分離フィルターを用いて,黒目の抽出と目の向きの認識を行う方法を提案した.提案手法は,(1)分離フィルターを用いた黒目候補の抽出,(2)位置情報により,頃目候補の中から両黒目の同定,(3)分離度フィルターの分離度による目の認識という手順を踏む.実験の結果,認識率は約90%になることが分かった. 4.さらに,白目の分離フィルタを使用する手法を提案した.その結果,認識時間は約1秒,認識率は97%となり,実用可の目処が立った.
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