研究概要 |
特定の児童の小学校中学年の算数作文の事例を分析し,2年間のメタ認知の発達変容について次のような知見を得た。 1 メタ認知的知識の量的増大 算数作文の記述から,この児童のメタ認知的知識を特定できた数は,3年生から4年生への学年進行にともなってほぼ1.5倍に増加した。 2 メタ認知の質的変容 (1)算数作文の約7割は,授業で自分は理解できたかどうかを問い直す記述である。この繰り返しは,メタ認知的思考のきっかけとなる自分自身へのモニター(メタ認知的技能)の強化になると考えられる。 (2)学年進行に伴って,問題解決の方略に関するメタ認知的知識として,他者(教師,他の子供)への関心の記述が増えてくる。 (3)また、学年進行に伴って,自分の問題解決の特性に気付き,今後の目標を掲げるような自己に関するメタ認知的知識の記述が多くなる。 (4)以上のようなその時点で児童が学習している特定の課題についてのメタ認知の記述から,特定の単元では,類推などから生起されるより一般的な課題についてのメタ認知が記述される。そして,このような記述を促す要因の一つとして,赤ペン指導に代表される教師のメタ認知的支援がある。
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