研究概要 |
私は,これまで約20年間にわたって,外国から日本に来た子どもたちを学校や地域社会がどのように受け入れるべきか,その方法についての調査・研究を続けてきた。平成8年から平成15年までの7年間は,大阪府T市にある団体のボランティアとして,ニューカマーの子どもたちの居場所を作る活動に参加した。私は,ここでの週2回の活動日のうち1回だけ参加するとともに,子どもたちとのキャンプやこの団体主催の市民向けのイベントなどをともに企画・運営をしてきた。私はこの活動をアクションリサーチと位置づけ本調査研究の中心に据えた。併せて,日本各地におけるニューカマーの子どもたちの受け入れ状況の情報収集等を行い,以下二つのプロジェクト型調査研究を行った。 その一つは,平成14年度,15年度にわたって,文部科学省の「帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域」指定を受け行った大阪市教育委員会の取り組みに参加したことである。 もう一つは,わたしが関東の大学に移ったこともあり,平成15年度から,文部科学省の「NPOと学校教育との連携の在り方についての実践研究」指定地域の埼玉県において,県総務部学事課が自由の森学園とNPO法人国際文化振興協会の連携で実施している取り組みに参加したことである。 これら,一定期間にわたって調査研究を続けてきたことで,受け入れに当たって大切と思われる幾つかの仮説が考えられ,その検証も進んだ。それらのうち最も重要と思われるものは次の二つであろう。 ・ニューカマーの子どもと日本の学校や地域社会が相互に適応関係を築くこと ・その実現には,家庭教育,学校教育,社会教育において多文化教育として取り組むこと これらの視点からアクションリサーチを行い,一定の成果を得るとともに,著述や講演等での発表に対しても概ねよい評価を得ているところである。
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