研究概要 |
「自然な日本語らしい発音」の評価に大きく関わるアクセント,プロミネンスやイントネーションなどの韻律を指導する方法に関して基礎的および応用的な研究を行い,具体的提案として初級学習者向けの韻律指導教材を作成した。 平成14年度は,13年度の研究成果をもとに,体系的音声教育のための韻律諸項目の関係および提出順序についてさらに深く追究し,アクセント・イントネーション・プロミネンス等の効果的な教育方法について考察した。教材の内容は,例文等を初級日本語教科書を分析して得られたデータをもとに改変したものを用いているため,上級や中級の学習者のみならず,初級学習者でも,語彙や文型で負担を覚えることなく発音練習ができるようになっている。広島大学留学生センターの初級後期の授業で試用したところ,学習者の反応はおおむね好評であった。この教材は,河野俊之・串田真知子・築地伸美・松崎寛『1日10分の発音練習』として2003年6月にくろしお出版より出版される予定である。 本教材を作成するにあたり,体系的教育の観点から整理した教授項目が,日本語話者にどのように評価され,アクセントの「ゆれ」がどこまで許容されるかという実験調査を行った。その結果は,AILA 2002 Singapore,13th World Congress of Applied Linguisticsにおいて,"THE EVALUATION OF ACCENTUAL VARIATION FOR ACCENT TRAINING" Symposium Native speakers' perception and evaluation of learners' linguistic performance : Findings and pedagogical implications of a project in Japanese as a second languageとして発表した。
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