研究概要 |
本研究は,クラスター分析と他の多変量解析法を融合して,局所的な相関関係や要因を見出すための計算アルゴリズムを開発し,情報フィルタリングやデータマイニングのツールとして応用することを目的としている.平成13年度には,ガウス混合モデルにおけるEMアルゴリズムと類似したアルゴリズムが得られるK-L情報量正則化によるファジィクラスタリング法を提案し,データの局所的な構造をより適切に表すデータ分割が得られることを示した.また,線形多様体状のクラスターが得られるFuzzy c-Varieties(FCV)法を不完全データに拡張することにより,欠測値を含むデータから局所的な線形構造を抽出する手法を提案し,ユーザの感性に基づいてコンテンツを推薦するための協調フィルタリングへの応用を行った.平成14年度には,ノイズや欠測値を含む実世界のデータからの知識発見を目的として,不完全なデータに対する主成分分析法にファジィクラスタリングを融合した手法や,線形クラスタリングの目的関数を最小絶対誤差に基づいて定義することによりノイズの影響を無視した局所的なマイナー成分分析を施すクラスタリング法を提案した. 協調フィルタリングシステムの開発や脳機能分析の実験を通して,理想的なデータを仮定した従来法では不可能であった柔軟なアプローチを目的とした手法により,これまで詳細な分析が困難であった実世界の大量なデータに対しても新たな観点からの分析が可能であることを確認した.
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