研究概要 |
画像処理の関数解析論的研究は,主に東工大,東海大とノースウェスタン大において研究され,射影フィルタ族,パラメトリック射影フィルタ族等の各種の復元フィルタが提案されている。しかし,復元フィルタの安定性が復元画像の忠実性に大きな影響を与えるので,復元フィルタの頑健性を高めた新しいフィルタ群の構成が応用には不可欠である。本研究は,応用上,計算量が少なく高精度な復元が可能なパラメトリック射影フィルタ族に対し,劣化作用等の摂動に対して頑健な復元フィルタを実現する頑健な復元フィルタの構成を目的とした。第一年次は理論構成を中心に摂動の影響を射影フィルタ族とパラメトリック射影フィルタ族の各種のフィルタについて劣化作用素の乖離による復元フィルタの忠実度の評価,摂動法と正則化手法との影響を考察した。また,正則化パラメトリック射影フィルタ族を構成し,新たな研究の方向性として,劣化作用素等の乖離を表す摂動パラメータやパラメトリックパラメータと正則化パラメータ等の各種パラメータの選択方法に新たな研究の展開に関しての検討も行った。第二年次は,第一年次に得られた知見を踏まえ,画像空間に計量を導入したM-N-ノルムパラメトリック射影フィルタ族と信号適応型パラメトリック族射影フィルタ族を提案し,その有効性を明らかにした。また,二つの射影フィルタ族に関し,劣化作用素等の乖離を表す摂動パラメータやパラメトリックパラメータと正則化パラメータ等の各種パラメータの選択方法に関しての検討を行い,パラメータ選択のための修正SIC基準を導入し,その有効性を検証し,パラメトリック射影フィルタ族に対して,ある意味で最適なパラメータの選択を可能にし,画像復元精度の向上に資することが出来た。これらの成果は,電子情報通信学会論文誌等に10編の関連論文が掲載され,国際学会等に発表された。
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