研究概要 |
本研究で得られた主な結果は,構造的動作意味定義によって操作的意味論が与えられる時間付きプロセス言語に対する一般合同性定理である.この定理によってCCS, CSPなどの通信プロセス言語の時間拡張の形式的体系に対して一般的な代数的意味づけの枠組みが得られた.さらに,LOTOSにおいて時間決定性が保証されない原因を特定することができる.主結果は,Journal of Logic and Algebraic Programming誌に2004年中に掲載される予定である. 一般化定理は通信の結果生じる内部的な動作を抽象した弱等価性に対して得られる.構造的動作意味定義が本研究で得られた構文的条件を満たせば,合同性が一般的に保証される.さらに,時間に対しても時間経過として自然な性質を構想動作意味定義に対する構文条件として完全に近い形で特徴化できたと考えている. 一般化定理の実際的なプロセス言語への応用面に対して,本研究では目標としていたが,既存の処理系に基づいて解析を実施するにとどまった.この点については引き続き今後の課題である.その際には本研究で得られた結果が非常に一般的であるために,実用とされる領域への絞込みの技法としての型理論の研究,一部の機能を自然にモデル化するために名前通信を導入したπ計算の部分的な導入が必要であることが研究の結果得られた.
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