研究概要 |
多くの計算困難問題は実用上も重要な意味を持つが,大規模な問題を解くことが難しい.本研究の目的は,計算困難問題を高速に解く専用回路を検討することである.本研究では,NP完全問題の一つである「部分グラフ同型判定問題(SIP)」を例として取り上げる.まずSIPの専用回路化に関して,2つのアルゴリズム(UllmannとKonishi)の実装方法(各種)を定量的に比較検討した.その結果,いずれの専用回路もそのままでは回路規模が大きく実装に難があることがわかった. 一般に入力データを固定すれば専用回路の規模は縮小するが,得られる回路は入力に依存するため再利用が不可能となる.このような回路(データ依存回路)の実装には再構成可能論理回路が必須であり,再構成可能論理の有望な応用であると期待される.そこでUllmannのアルゴリスムとKonishiのアルゴリズムに関してデータ依存回路を評価した結果,回路規模が縮小すると同時に,回路生成時間を含めても実行時間が短縮可能であることが示された.この傾向は,ランダムグラフ,連結グラフのいずれのデータセットでも同じであった.これらの結果は国際会議と論文誌に採録された(論文リスト参照). 部分グラフ同型判定は一種のパターンマッチ問題であるが,これに関連してプログラムへの電子透かし埋め込みに関する研究を行った.プログラムは基本ブロックによって構成される一種の有向グラフとしてモデル化可能である.この構造に電子透かしを埋め込むDavidsonの手法に関して定量的評価を行い,レターとして論文誌に採録された.
|