研究概要 |
本研究はオブジェクト指向ソフトウェアの高品質設計方法,高信頼性ソフトウェア導出のための仕様記述方法,および,効率のよい実行プログラム導出方法の確立をその目標にしている. 本研究は,用いる仕様記述モデルに関して,ペトリネットおよびその拡張モデルを用いたアプローチと,時間オートマトンを用いたアプローチに大別できる. 1.ペトリネットおよびその拡張モデルを用いた設計: トークンを時間拡張したペトリネットモデルを提案し,そのモデルに基づいたワークフロー記述,およびそのワークフローに基づいたスケジュール管理機構および処理系を提案し,発表した.また,ペトリネットによる動作仕様記述からの携帯端末向けのアプリケーション開発方法を考案し,発表した.提案方式では携帯端末の限られたリソース上で効率よく実行するため,ペトリネットで記述された制御フローから逐次必要な部分コードをサーバーから必要に応じて転送する.実験により有用性を評価した. 2.時間オートマトンモデルを用いた設計と検証: GUIのシナリオ記述を時間拡張オートマトンベースで行う方法を提案した.この方法では,シナリオの断片記述と合成パターンを指定して,全体のシナリオを表す時間オートマトンを自動合成する. 次いで,時間制約を満たすプログラムの設計方法を考案した.上位記述にUML/OCLを用いて設計記述を行い,コンポーネントベースの設計と検証作業を二段階に分けることにより,システム全体に課せられたQoS制約が満たされることを保証し,さらに制御コードを導出する.オーディオビデオネットワークプロトコルの例題で有用性を評価した.
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