研究概要 |
1.ヒープソート法の最悪実行時間の決定と最悪入力の具体的構成 ヒープソート法の実行は,入力全体をヒープにするフェーズとヒープ全体をソートするフェーズ,の2つのフェーズに分かれる。我々はヒープソート法の最悪実行時間の厳密な値を,(1)第2フェーズの最悪実行時間と,その最悪実行時間を実現する具体的な入力の決定,(2)第1フェーズによって実現される変換の分析,(3)第1フェーズの最悪実行時間と,その最悪実行時間を実現する具体的な入力の決定,(4)第1フェーズの最悪実行時間を実現する入力であって,第2フェーズの最悪実行時間を実現する入力に変換されるようなものの存在の証明,という順序で決定することができた。また,その最悪実行時間を実現する入力のうちのある種類のものについて,その具体的な構造を木に含まれる部分木の再帰的な構造により特徴づけることができた。 2.ブロックソートへの入力の持つ構造の研究 ブロックソートは,最近の情報圧縮に利用されるBurrows-Wheeler変換と呼ばれる変換の主要部分を占める操作で,圧縮すべき文字列を巡回シフトして得られる文字列の列を辞書式順序でソートする操作である。ブロックソートの入力は,その作り方から,要素間の大小関係に対して強い制約がある。このことを利用することによって,ブロックソートに関しては,一般のソーティングよりも高速なアルゴリズムが存在する可能性がある。このようなソーティング法を発見するためには,ブロックソートへの入力が持つ構造の研究が重要となる。本研究では,ブロックソートへの入力に含まれる逆転の数と連の数について分析を行い,一般のソーティングへの入力に含まれる対応する数との比較を行った。
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