研究概要 |
本研究の成果を主要なものに限って以下のようにまとめる. 1.4値準無矛盾論理に基づく議論フレームワークの形式化 4値準無矛盾論理をベースに,次の特徴を持つ議論フレームワークの形式化を与えた:差異による反論関係,社会規範と議論の根拠の多さによる議論優劣判断基準,正当化・棄却化議論,そしてこのフレームワークの不動点意味論,さらに健全性と完全性の証明を与えた.これをさらに多値一般に展開し,知識からの論理的帰結と正当化された議論の帰結が一致するような議論フレームワークを形式化した. 2.テトラレンマに基づく議論モデルの研究 東洋の思想,哲学,論理を特徴づけるテトラレンマ(四句分別)の意味を詳細に調べ,その計算論的解釈に基づき議論の論理を構築した.この論理を用いることで,通常の「真」,「偽」に加えて,「両是」,「両否」といった東洋的認識観を知識としてもつエージェントが,東洋的議論を行うことが可能になった. 3.計算弁証法と議論 代表的な三つの弁証法的思考および発展の法則:弁法的止揚,否定の否定の法則,量から質への転換,を計算論的な観点から再考した.そして,適切論理に基づく弁証法的論理をもとに,2種類の弁法的止揚の定義(Aufheben, Weaker Aufheben)を与え,それを議論過程の中で実現する方法を与えた.これらの有効性を具体的に実証するために,電子商取引の問題に適用した. 4.議論および知識変換法の研究 エージェントに議論能力と移動能力を与えたことによって,他のエージェントから多くの知識を得ることができるモバイル可能な議論するエージェントシステムを試作した.この集められた知識から,自らの議論内容をより説得力の高いものにしたり,簡略化するための方法として,知識変換法と議論変換法を与えた.議論変換浩として,(1)規則および事実を他のもので置き換える置換規則,(2)不完全知識を完全化する変換規則.知識変換法として,知識の集約規則,知識の簡略化規則を与えた.
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