研究概要 |
遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms;以下GAと略す)は生物集団の適応進化に範を得た確率的探索および最適化の手法であり,汎用で適用範囲が広く探索空間が組合せ爆発を引き起こすような問題にも適用できることから,約30年前に最初に提案されて以来,急速に注目を集めており,実用化も進んでいる.GAの高速化を目指すアプローチの内,特に有望なのが並列分散処理VLSIハードウェア化である.我々はGAのVLSI化について我国で先鞭をつけ,さらにGA-VLSIの並列分散処理化について世界でもほぼ最初の設計を行ってきた. 本研究ではこの並列分散GA-VLSIについて,さらなる効率化を目指した.具体的には,すでに計算機クラスタ上でのソフトウェア実装で効果を確認している分散GAの動的パラメータ調整方式を我々の並列分散GA-VLSIに新たに組み入れて,効果を検証した.これは世界でも全く初めての試みである. 本研究にはハードウェア設計,並列分散処理,動的最適化,問題解決技法など多岐に渡る背景があり,研究の遂行にはそれぞれについて最新の研究成果が必要である.そこで,研究成果をまとめ上げるにあたっては,あわせて上記の各々についても各種方式を追求した.具体的には,ハードウェアの効率的設計方式,分散処理の動的最適化方式,などである.そして,システム設計から回路設計まで完成させて,シミュレーションによる性能評価,論理合成による回路評価を行い,良好な成果を得た.
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