研究課題/領域番号 |
13680458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
知能情報学
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
松井 伸之 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10173783)
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研究分担者 |
礒川 悌次郎 姫路工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70336832)
PEPER Ferdinand (FERDINAND Peper) 独立行政法人通信総合研究所, 関西先端研究センター, 主任研究員 (40359097)
西村 治彦 兵庫教育大学, 学校教育学部究センター, 教授 (40218201)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 認知交代 / 意識の切り替え / 確率共振 / 結合振動子ニューロン / 量子ビットニューロン / 四元数 / 結合問題 / 非標準計算論 / カオスニューラルネットワーク / 画像圧縮復元 / 非ホロノミック系の制御 / 非同期セルオートマトン |
研究概要 |
近年、生物からヒントを得た神経回路計算論や進化論的計算論をはじめとして、分子・DNA計算論やセルオートマトン、さらには量子力学を基盤とした量子計算論など、いわゆる非標準計算論(Non-Standard Computing)に基づく次世代コンピュータの研究が活性化している。同時に、PETやfMRI等による脳機能解明に促されながら、従来のコンピュータ性能の限界を打破または補完しうる知能システム実現に向けての研究が加速している。周知のようにヒトの脳は環境からの複雑な入力や予期せぬ事態に対して迅速かつ柔軟に適応しうる機能を備えているが、これは注意や意識のいわば能動的な情報処理機能に負うところが多い。したがって、その能動的情報処理機能の計算論モデル(人工意識)を構築することは、ヒトを知的に支援する知能システムの現実的な工学的研究のみならず、脳の高次情報処理機能解明研究にとっても新たな知見をもたらす最も興味深い研究課題の一つである。しかしながら、現状では、概念的または定性的な意識モデルが多く、情報処理システムとして具体的に記述しうる計算モデルの研究はあまり進んでいない。本研究においては、情報処理システムとして具体的に記述しうる計算モデルとしての意識モデル構築をめざし、主に以下の研究成果1.及び2を得た。 1.各種のシミュレーションにより量子ニューロ計算や四元数体系との融合が引き出す情報処理性能の向上を探る試みを行い、情報の複素数表現や四元数表現などの表現記述の実数値記述に対する完全な優位性を明らかにした。非標準計算論に実数値以外の数体系を導入することの意義を探り、符号化問題や色画像処理などへの応用を発展させるとともに、非標準計算論の理論的整備を試みてきたこと。また、ヒトの複雑な運動制御処理における意識の重要性にも鑑みて量子ニューロ計算の適用、例えば、倒立振子の振り上げ制御における学習性能評価の観点からもこの手法が優れていることを明らかにし得た。さらに自己複製・自己認識の観点から、非同期セルオートマトンにおけるフォールトトレラント計算手法も開発できた。 2.脳の情報処理における"揺らぎ"と"振動"の重要性に着目して、確率共振を考慮した人工ニューラルネットワーク及び結合振動子ニューロンモデルを1の研究と融合させる形で発展させ、認知交代間隔のガンマ分布の自然数値パラメータαにおける分布ピークのモデル解釈から意識の切り替え機構としての情報処理システムを明らかにし、非標準計算論を模索して人工意識記述の可能性を探った。その結果、結合問題記述の可能性を示唆し得た。脳に離散量で記述しうるクオンタルな状態があることも示唆し得たが、これは意識の切り替え機構の存在を強く示唆し、意識モデル構築への重要な手がかりを与えた。 これらの研究成果を国内外に発表し得た点でも、当初の研究計画は達成し得たと考えている。
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