研究概要 |
本研究課題では,等高線地形図から高分解能DEMを自動作成するための実用化システムを開発することに主眼を置いて,以下の通り研究を進めた。 (1)多数の適用実験を踏まえて,実用化システムに組み込む各種処理アルゴリズムの性能改善を行う。 (2)システムとしての統合化を行い,ユーザ・フレンドリーなトータルシステムとしての実現を図る。 まず(1)については,生成DEMにおいて不自然な形状(段差,瘤,凹みなど)を生じにくい高精度DEM生成手法である単調関数補間法の開発を完了するとともに,生成DEMにまだ残存する微妙な不具合を除去するための後処理法として,新たに拡張型Grimson正則化法の開発を行った。評価実験の結果,提案手法はかなり効果のある後処理法であることが確認できた。さらに,市販の地形図では図面の境界同士で若干のずれを発生しており,小規模DEMを張り合わせて統合DEMにまとめる上での問題となっているが,その対策についても検討した。その他,各種の適用実験を多角的に実施しながら,実用化システムを実現するための各種処理アルゴリズムの性能改善作業を継続して実施した。 次に(2)については,グラフィック・ユーザ・インターフェイス(GUI)を駆使したユーザ・フレンドリーな処理システムとしての実現化作業を継続して行った。さらに,多数の適用実験による使用経験を踏まえて,一層使い易いシステムとしてのトータルシステム化を図っているところである。 今回の研究開発によって,「等高線地形図からの高分解能DEM自動作成システム」は基本部分が一応完成し,実利用できる状況に至った。今後は,本システムの拡充を図るとともに,本システムを用いた地理情報処理に関する各種の応用研究を精力的に展開して行きたいと考えている。
|