研究概要 |
World Wide Webの普及により,Webブラウザから使用するグループウェアのユーザ層が拡大してきたのに伴い,単にグループウェアを利用するだけでなく,ユーザ自らがグループウェアを構築し改良を加えながら使用していく環境が望まれている.これはユーザグループでの知の協創にも役立つものと期待できる. 従来のグループウェアの導入方式としては次の2つが代表的である.第1は特注の専用システムを構築する.第2は市販のパッケージ製品を購入する.このどちらにおいても使い易いグループウェアを低コストに導入することは困難である. 一方,オフィスではホワイトボードの上にビニールテープや紙を貼りつけ,ホワイトボード本来の,文字や図を描く,マグネットを貼り付ける,といった機能と組み合わせることで多様な情報共有ツールをユーザ自身が簡単に構築し使用している. 我々はこの利用形態に注目し,これと同じ感覚でグループウェアを構築できる基盤システム-ビジュアルメタグループウェア(Visual Meta Groupware ; VMGと略す)を開発した.その基本コンセプトはグループウェア構築に必要な機能を細かく分け各々を基本部品として用意し,ホワイトボードにビニールテープやマグネットを貼り付けるような感覚で,ユーザがWebブラウザのアプレット上で基本部品をビジュアルに配置して,ノンプログラミングでグループウェアを構築できることにある.プロトタイプシステムの構築と試用実験を繰り返し,その有効性を確認した. ホワイトボードをアナロジーとするグループウェアの構築事例はこれまでにもあったが,それらは「白い画面に文字や図を描く」といったホワイトボード本来の用途を再現したものであった.また,グループウェア構築の基盤となるOSの提案もされているが,本研究はエンドユーザがグループウェアを構築する基盤とするものである.
|