研究概要 |
本研究の目的は,先行研究の成果として得られた複数のデータマイニング・モデルについて,各々の特長を活用し,それらを複合的に組み合わることにより高性能を実現するような,新しいデータマイニング・モデルの構築を行うことであった. そうした観点から,研究目的を達成するための基礎となり,複合モデルの最適性を保証するために必要となる,数理最適化手法についての理論研究とアルゴリズム開発を実施した.結果として,確率感度解析理論の応用による,新しい確率的最適化手法の数学的導出を行ない,多峰性のような複雑形状を有する目的関数に対して,局所的な情報を用いて最適値を探索できる確率的探索アルゴリズムを提案した.さらに,本研究に関連して民間企業から提供を受けた実データに対して事例研究を実施し,データマイニング複合モデルの構築についても考察を行った.その結果,複合モデル構築の理論的フレームワークを提案し,得られた技術の適用により,データマイニングに関して高性能を有する複合モデルを構築可能であることが示された. こうした研究と合わせて,データマイニング技術の高度産業応用についても一連の考察を行い,データマイニングにより発見された知識を,最終的には智慧にまで昇華させるような,ナレッジ・マネジメント(Knowledge Management)の技術基盤を構築するための新しい方法論を提案した.さらに高度なインテリジェンスを有するデータマイニング技術の開発と総合を行うためには,知識発見性能の一層の向上を図る必要があることも示された.
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