研究概要 |
本研究では、列挙手法に基づく組合せ最適化問題の解法の開発を行った。以下では、得られた結果のうち主要なものについて簡単にまとめる. 1.2次整数計画問題に対する解法:MAX 2-SAT問題とMAX DICUT問題に対し,新たな近似比率を持つ確定的な算法を提案することができた.これらの問題に対するそれまでの研究の多くがFeige and Goemans(1995)の改良法を洗練させたものであったのに対し,我々の解法は新しいアイデアと新しい解析手法を開発することで,実は既に提案されていた確定的な算法が,良い近似比率を達成している事を初めて証明した.ハブスポーク構造を持つネットワークの設計問題の解法として,線形化手法を用いた解法の提案を行った。またCABデータを用いた計算機実験によって、その性能の確認を行った. 2.スポーツスケジューリングの研究:スポーツのスケジューリング問題に対し,公平に試合場の使用を行うスケジュールの作成アルゴリズムの構築を行った.さらに,宮代隆平との共同研究により,スポーツスケジューリングにおける最適ホームアウェイテーブル作成問題対するElf予想を肯定的に解決することができた.これは,ブレーク数を最少化する問題において,最適値がチーム数未満であるかを判定する問題が多項式で解けるという予想であり,ドイツの研究グループであるElfらによって提唱されていたものである. 3.サンプリング法および近似数え上げ問題の研究:2行分割表の数え上げ問題に対する近似解法の提案を行った.現在までの方法では,算法によって得られる値が少なめに偏る事を計算機実験によって示し,それにたいし偏りが非常に小さくなる手法の提案を行った.2×2×‥‥×2×Jという形式の高次元分割表について,多項式時間の近似サンプリング法の提案を行った.この論文では,一様分布と超幾何分布の2つについて,分布に従った確率で分割表を生成するアルゴリズムを提案している.更に,来嶋修治との共同研究により,2次元分割表で2×Jの形式のものに対し,多項式時間の厳密サンプリング法の提案を行った.
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