研究概要 |
KrFエキシマレーザ(λ=248nm)およびYAGレーザ第二高調波(λ=532nm)を用い,真空中でグラファイトターゲットをアブレーションし,カーボンプラズマプルーム生成した。プルーム中のC_2密度分布,C原子,C^+密度をそれぞれ2D-LIF法,スペクトル吸収法,イオンプローブ法により計測し,以下のことが明らかとなった。 1)KrFレーザのアブレーションによって放出される炭素原子やイオンは高い電子励起状態にあり,イオンはアブレーション後早い時刻(<100ns)に再結合放射を行う。レーザフルエンスとともにカーボンイオンの生成が増加する。 2)Nd:YAGではプルームからの発光は主にC, C^+によるもので,放出されるC, C^+, C_2分子はレーザフルエンスとともに増加する。 3)KrFレーザによって放出されるC_2分子はNd:YAGレーザの場合より高い温度となる。波長の長いNd:YAG基本波によるC, C^+やC_2の生成は,主にレーザによるターゲットの加熱・蒸発によるものと考えられる。 Ni含有グラファイトコンポジットをArガス500Torr中でYAGレーザ第二高調波でアブレーションし,カーボンナノチューブ作製条件における,プラズマプルームの発光分光計測を行った。レーザフルエンスが高い場合,C, C_2, C^+, C^<2+>などの炭素種とともに多数のAr, Ni原子線が観測されたが,低フルエンスではArからの発光が小さく,ターゲットから放出される粒子のエネルギーが小さいことを示している。また,アブレーション後,約400nsではほとんどの炭素種からの発光が無くなるのに対し,Ni原子からの発光は持続し,励起状態のNi原子が長い時間存在することがわかった。レーザミー散乱法によるアブレーション後の微粒子の形成過程を観察し,数百μs後にターゲット近傍で生成された粒子は約7m/sの初速度で移動し,急速に運動エネルギーを失いつつ,数十ms以降も渦を形成しながら拡散することがわかった。
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