研究概要 |
近年のレーザー技術の進歩により,短パルス超高強度レーザーを用いたレーザー核融合やレーザーと物質との相互作用に関する研究が盛んになってきた.超高強度レーザー生成プラズマにおいてはレーザーエネルギーの多くが高速電子に変換されるため,これまで以上に多くの硬X線(10keV以上)が生成される.従って,超高強度レーザープラズマの相互作用においては硬X線(10keV以上)の画像計測が必要不可欠である.これまでの研究で硬X線の画像計測には半影カメラが有効であることが分かってきたが,画像を再生する必要があり,半影像に含まれるノイズに極めて敏感である.また,半影カメラ自身は深さ方向の分解能を持っておらず,三次元情報を得ることができない. そのような問題点を解決するために、本研究では、ソフトの面ではヒューリスティック手法による半影再生法を開発し、ハードの面では符号化半影法を開発した。その有効性をコンピュータシミュレーションと実際のレーザープラズマ実験への応用で検証を行った。以下の成果を挙げることができた。 (1)ノイズの影響をあまり受けない、ヒューリスティック手法による半影再生法を開発し、実際のレーザープラズマ実験における密度分布計測に適用し、その有効性を示した。その成果はRev.Sci.Instrum.誌(発表論文4)に掲載された。 (2)ヒューリスティック手法による半影ブラインド再生法を開発し、硬X線によるレーザー核融合領域観測に適用し、高精度で観測することができた。その成果はRev.Sci.Instrum.誌(発表論文3)に掲載された。 (3)ヒューリスティック手法による画像の三次元再構成法を提案し、実際のレーザー核融合反応領域の三次元画像計測に適用し、その有効性を示した。その成果はRev.Sci.Instrum.誌(発表論文1)に掲載された。 (4)半影カメラと符号化開口を組み合わせ、高いSN比で画像計測をできることを示した。現在論文投稿準備中である。 (5)符号化開口の深さ方向の分解能を定量的に評価し、その改善法を提案した。その成果はRev.Sci.Instrum.誌(発表論文2)に掲載された。 (6)ヒューリスティック手法による符号化開口の三次元画像再構成法を提案し、その有効性を示した。現在論文準備投稿中である。
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