研究課題/領域番号 |
13680564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
プラズマ理工学
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中村 圭二 中部大学, 工学部, 助教授 (20227888)
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研究分担者 |
菅井 秀郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005517)
池澤 俊治郎 (池澤 俊治朗) 中部大学, 工学部, 教授 (60065282)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | プラズマイオン注入 / 二次電子 / 二次電子放出率 / 注入深さ / 表面モニタ / 半導体検出器 / 二次電子放出係数 / pulse modulated discharge |
研究概要 |
本研究では、ブラズマイオン注入時のイオン入射フラックスおよび注入ドーズ量をIn-situで調べ、実際にドープされた不純物の深さ分布などの測定結果と併せて総合的に検討することにより、イオン注入におけるイオンなどの活性粒子の役割を明らかにして、本手法をベースとした大面積・高スループット不純物注入プロセスの高度化に資する基礎データを取得すことを目的とした。 まずはじめにIn-Situでイオンフラックスをモニタするために、ターゲットに対向して設置した電子冷却された半導体検出器により、変位電流やプラズマの背景電子と分離してターゲットでの二次電子電流を高精度に測定した。この二次電子電流とターゲット電流を比較することにより、イオンフラックスをモニタできる同時に、イオン注入中のターゲット表面における二次電子放出係数も測定できることがわかった。 次にアルゴン希釈酸素プラズマを用いて銅製球ターゲットに酸素イオンを注入したところ、二次電子放出係数は注入時間とともに増加し、その後飽和することがわかった。これはX線電子分光により測定したターゲット表面での酸素の深さ分布の時間変化と非常によく対応していたことから、イオン注入された表面における直接的なイオン注入モニタとして二次電子放出係数が使えることがわかった。 さらに、本手法をウェハに適用するために、平板状のターゲットについても二次電子放出係数の導出を試みた。酸素が注入された銅表面での二次電子放出係数は30以上と非常に大きいので、それを校正に用いてシリコンウェハーの二次電子放出係数が求められ、銅に比べて小さいことがわかった。 一方、連続放電において放電パワーを変化させながら二次電子放出係数を測定したところ、放電パワーとともに二次電子放出係数は大きくなることがわかった。二次電子放出係数はイオンフラックスで規格化された値なので、イオン密度に比例する放電パワーに依存しないはずであるが、本実験により、プラズマイオン注入では二次電子放出にイオン衝撃以外の効果が含まれることを示した。 そのことを検討するために、放電をパルス放電に切り替えて二次電子放出係数の時間分解計測を行った。放電がオンからオフに切り替わるとき、イオン密度は連続的に緩やかに時間変化するものの、二次電子放出係数は放電がオフになった直後に50%以上急激に低下した。このとき同時に真空紫外光の時間変化を調べたところ、極めて二次電子放出係数と対応した変化を示し、また真空紫外光強度がゼロのときの二次電子放出係数を推定できたことから、プラズマイオン注入における二次電子放出係数の内、イオン衝撃による成分と真空紫外光による成分とに分離できることがわかった。 このように、プラズマイオン注入においてターゲットの電流に少なからず含まれる二次電子電流は、パルス放電のアフターグローに高電圧パルスを印加すると低減できることから、放電のパルス化は、高電圧パルス電源の電流容量を小さくでき、システム全体の低コスト化に有効であることがわかった。
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