研究概要 |
本研究は,微小電流リード構造をアルカリ金属熱電変換(AMTEC)のカソード側電極へ適用し,性能向上を図ることを目的とする.ここで微小電流リードは,Arレーザ熱CVD法によりβ"アルミナ固体電解質表面に作製される線状構造体である.この手法により従来の金属網を被せる集電方法が改善され,小型・高密度化セルが構造上可能となる。また,従来AMTEC性能低下の主原因となっている接触抵抗とNa物質移動抵抗の低減化が期待できる. 多孔質電極内のNa物質移動特性に関しては,カソード・アノード両側電極をNa蒸気相として評価する実験装置を新たに作製し,その評価手法を確立した。Mo薄膜電極(3μm)の測定を実施し,測定結果より無次元圧力損失パラメータによる電極モデル化を行った.一方,レーザ熱CVD法により,幅100〜500μm,厚さ50〜200μmの線状微小電流リード構造(Mo)を作製した.蒸着リードの体積抵抗率としてバルク値の4〜6倍が得られた. 得られた測定値を用いて解析を行った結果,通常の金属網の集電構造と比較して約35%の出力密度の向上が得られることを明らかにした.さらに,リード構造の間隔,幅,厚さなどの最適化の検討を行った.本研究の結果より,提案する微細電流リード構造はAMTEC性能向上手法として有効であり,今後体積抵抗率の向上などによりさらに高性能化が期待できるといえる.
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