研究課題/領域番号 |
13680598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 溶存有機物 / 海洋細菌 / 難分解性 / 炭素循環 / 難分解 |
研究概要 |
海洋の微生物代謝過程における難分解性溶存有機物の生成機構の解明ため、1 現場海水中における溶存有機物のサイズ分布、C:N比と分解性との関係、2 海洋細菌の増殖過程において蓄積する難分解溶存有機物の特徴を調べた。 1.サイズ分布全体の特徴として、高分子→低分子になるほどその存在量が大きくなるという明確な傾向を示した。また、沿岸、外洋表層、中深層の順に、高分子画分の濃度が急激に減少し、相対的に低分子の割合が増加した。これらのことから、高分子DOMはより活発に代謝回転しているのに対し、低分子画分は難分解性DOMの主成分となっていることが示された。またC:N比に関しては、低分子画分中の値に、海域や深度による大きな違いは認められなかったのに対し、高分子画分に対しては、主に沿岸と外洋の間に有意な差が認められた。以上のことから、難分解な低分子DOMは、生産された後、特に大きな変質を受けずに比較的海洋全体に広く分布しているのに対し、高分子DOMはより分解され易い部分が選択的に分解、除去されながら海洋に分布していることが示唆された。一方、現場から得られたDOMのサイズと分解特性の関係に対する推察結果を検証するために、相模湾沿岸表層の試料を用いて、バクテリアによる分解実験を行った。その結果、低分子に比べ高分子ほど分解速度定数が大きくなる傾向を示し、現場から得られた観測結果と一致した。 2.グルコースおよび海洋植物プランクトンの細胞外生産DOMを基質として添加した人工海水に対し、東京湾または相模湾沿岸の表層から採取した海水を濾過後、添加し、現場海洋細菌の培養を行った。培養2〜3週間の間に見かけ上分解が遅く培養液中に蓄積する難分解性DOMについて、そのC:N比、サイズ分布を調べた。その結果、培養実験によって得られた難分解DOMは、C:N比が12-20で現場海洋に存在するDOMのC:N比と類似すること、また、海洋に卓越して存在する低分子画分の割合が30-70%を占めることが明らかとなり、海洋に存在すが難分解DOMの生産に細菌群集が深く関与している可能性が示された。
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