研究概要 |
13年度にフローインジェクション方式によりNO_2など他の気体成分による妨害を全く受けず,分析時間5分で15ppt以上のHONOを測定する方法を確立することが出来た。この方法により,夜中のHONO濃度減少や、日の出後のラッシュ時の濃度上昇、日中における比較的高濃度のHONOの存在などが明らかとなった。14年度ではこの方法をさらに発展させ連続分析計へ改良を行った。本法はベースラインが非常に安定しているため、非常に信頼できるデータが得られることがわかった。この分析法の開発と平衡して,拡散デニューダーを用いた長時間サンプリングを週に1日づつ,1年を通して測定を行った。その結界,これまで昼にはほとんど存在しないと言われていたHONOが夏の日中でも数ppbの濃度で存在することが分かった。開発した連続測定法を用いて土壌からのHONOの発生を調べたところ,HONO生成は日の入り直後に観測された。また、粒子上のNO_2からの生成では、アンモニウム塩が重要な役割を果たしている可能性を見出した。 水滴の蒸発過程では、亜硝酸、アンモニア、酢酸、蟻酸などが乾燥後に粒子となるか気体になるかを決定すると因子として,カルシウムイオンとそれに結合する炭酸イオンの量が重要であることがわかった。凍結過程では、硫黄種の反応促進の研究を詳しく調べた結果、凍結促進機構の定量的な取り扱いができることがわかった。 以上述べたようにこの2年の研究によりHONOの濃度変化の特徴をつかむことができ、発生源の解明に向けた指針を得ることができ,この研究をもとにすれば亜硝酸の発生、運命、濃度などの大気環境での循環を明らかにすることができると思われる。
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