研究概要 |
釧路湿原に流入する負荷量を把握するため河川水質モニタリングを1997〜2003年に実施した。K10(温根内川)からK11(幌呂川)の間での2001年に地形改変などの影響が推定される。電気伝導度はK1(達古武川)が比較的高く、変動が大きい。リン酸や亜硝酸、アンモニア濃度はどこも低く推移した。特に硝酸は地域により特徴が見られ、季節的な変化は特に認められない。400〜500ppbと硝酸濃度の高いK9(幌呂川)とK10が湿原内で合流して硝酸濃度のやや低い(200ppb)K11となる。したがって、湿原による硝酸の吸収過程が関与し、下流では約半分になっていると考えられた。 尾瀬沼の湖水pHは6.3〜7.5の中性の範囲にあった。一方周辺の湿原は酸性にありS15を除くとpH6台であり,沼尻地区に流入する河川はpH5以下で特に酸性であった。比較的流量の多い大江川等の3河川はいずれもpHは6.5付近で弱酸性であり,硝酸濃度も比較的高い。栄養塩類の中でリン酸態リンや亜硝酸は非常に低い。酸性の強いの河川水の栄養塩類は全て低く,それ以外では窒素は比較的高く硝酸態窒素の形態であった。自然の流出河川である沼尻川や東京電力の取水口での栄養塩類濃度はどれも低いことから,尾瀬沼集水域から流入する硝酸態窒素は尾瀬沼で消費されていると考えられる。5河川の水温は他に比べ低く、流域の違いや湧水の存在を詳しく調査する必要がある。狭い集水域でこれほどの水温差があることは特異であった。
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