研究課題/領域番号 |
13680660
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 専修大学北海道短期大学 |
研究代表者 |
石川 幸男 専修大学北海道短期大学, 造園林学科, 教授 (80193291)
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研究分担者 |
本多 和茂 専修大学北海道短期大学, 造園林学科, 講師 (30279442)
近藤 哲也 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10153727)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 授粉実験 / 自家和合性 / 自動自家受粉 / 資源分配 / 推移確率行列 / 行列モデル / シミュレーション実験 / 個体サイズ / フラワーディスプレイ / 近交弱勢 / 住民参加 / 発芽特性 / 絶滅危惧植物 / 分布限界 / 繁殖特性 / 個体群動態 |
研究概要 |
北海道の絶滅危惧植物に指定されているカタクリを対象に、北海道内3ヶ所の地域個体群において、生育地の環境条件、繁殖様式の解明、繁殖器官の形態と資源分配特性、および個体群動態を明らかにした。さらにこれら特性をもとに、地域個体群ごとに適切な保護管理を行うための方策を考察した。調査をおこなった地点は、カタクリの分布東限に近い端野町、北海道中部に位置する旭川市突哨山、および道南部に位置するピンネシリである。 ピンネシリと突哨山の気候条件は類似していたが、端野での生育期間中の平均気温と訪花可能な温度条件が維持される時間は、前2地点より短かった。積雪期間は端野で短かったが、全般に気候条件よりみた生育条件において、端野は厳しい条件にあった。 交配実験の結果、自然授粉と強制他花授粉の結果率はピンネシリ、突哨山、端野の順に高かった。強制自家授粉の場合は、結果率が端野で60%、突哨山で17%、ピンネシリでは0%であった。開花期の気候条件が厳しい端野においては自然受粉が制約され、これを補う形で自家和合性を獲得する選択が働いたと考えられる。 3個体群において、最大の個体サイズはピンネシリ、突哨山、端野の順に大きかった。 個体群の追跡をおこなっていた端野と突哨山においては、マトリクスモデルを用いたシミュレーション実験を実施して、今後50年間の個体群の推移をモデル化した。その結果、初期の個体群の成長率に関わらず、絶滅に至る確率は低いと予測された。 以上の結果より、北海道の中南部に位置するピンネシリと突哨山のみならず、分布東限に近い端野においても、近い将来に大幅に個体群が縮小する危険性は小さいことが明らかとなり、緊急の対応は取る必要がないことが示唆された。今後の研究課題として、遺伝的多様性の程度、自家和合性の獲得に対応した近郊弱勢の発現の有無の確認等が必要である。
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