研究課題/領域番号 |
13680702
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
|
研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
宮田 敏行 国立循環器病センター研究所, 病因部, 部長 (90183970)
|
研究分担者 |
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室長 (40270730)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | ホモシステイン / 遺伝性運動感覚性ニューロパチー / NDRG1 / モデル動物 / ミエリン / 末梢神経傷害 / ノックアウトマウス / 運動感覚障害 / ニューロパチー / シュワン細胞 / 運動障害 / マウスモデル / 脱ミエリン化 / 神経軸索 / 遺伝子欠失動物 / 神経障害遺伝子 / loxP |
研究概要 |
我々は、血栓症の危険因子である高ホモシステイン血症の血管壁細胞への影響を分子レベルで解明する過程で新規遺伝子、NDRG1、を発見した。NDRG1は394アミノ酸からなる分子量47kDaの細胞質蛋白質でC末端領域に10アミノ酸からなる3回繰り返し構造をもっていた。最近、NDRG1は稀なCharcot-Marie-Tooth病4D型(CMT4D;遺伝性運動感覚性ニューロパチーLom型)の原因遺伝子であると報告された。我々は、このNDRG1遺伝子の欠失マウスを作成することに成功した。このマウスは、NDRG1遺伝子のプロモーターおよびエクソン1を含む領域を完全に欠損しており、NDRG1が高発現する腎臓においてNDRG1タンパク質が検出されなかった。NDRG1ホモ欠失マウスは正常に出産され、オス・メスとも正常に繁殖可能であった。しかしながら、ホモ欠失マウスは野生型あるいはヘテロ欠失型に比べてその発育に少し遅延がみられ、また生後2〜4ヶ月齢のうちに後肢の運動機能に明らかな異常が見いだされた。CMT4D患者は、末梢神経組織の顕著な変性がみられ、これが運動感覚障害の原因であると考えられている。そこで我々は、NDRG1欠失マウスの運動機能検査および末梢神経組織の病理組織解析を行った。運動機能検査の結果、ホモ欠失マウスは野生型マウスに比較してその成績が顕著に低下していた。病理組織解析の結果、ホモ欠失マウスは、生後1〜2週齢にかけて神経軸索に正常にミエリン鞘が形成されるものの、5週齢のものにおいては神経線維の脱ミエリン化などの変性が始まっていた。また3ヶ月齢以上のものについては、神経線維に著しい変性が観察された。これらのことから、NDRG1は神経軸索のミエリン鞘の維持に必須であることが示唆された。本研究により得られたNDRG1遺伝子欠失マウスは、神経軸索のミエリン鞘の維持に重要と考えられる神経細胞とシュワン細胞間の情報伝達機構の解析や、ヒトの末梢神経変性疾患の病態解析のモデル動物として非常に有用であると考えた。
|