配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
口腔連鎖球菌の菌体外酵素グルコシルトランスフェラーゼGTFを用いた研究を行った. まず,GTF(酵素分子全体),GS(触媒ドメイン),DXB(デキストラン結合ドメイン)の3種のタンパク質の大腸菌での発現・精製法を検討し,本研究に必要な大量のタンパク質試料の調製法を確立した. つぎに,示差走査熱測定(DSC)測定によって,GTF,GS,DXBの熱変性パターン(T_m),熱変性エンタルピー(ΔH)の測定を行った.これらのデータをもとに,GSとDXBの融合にともなう内部エネルギー変化を見積もったところ,ΔH(GTF)<ΔH(GS)+ΔH(DXB)となった.また,GTFにおけるT_m(GS)は単独の場合より低くなり,逆にT_m(DXB)は単独の場合より高くなった.これらの結果から,ドメインの融合により,GSは不安定化し,DXB安定化されることが示された.また,GTF, GS, DXBのCDスペクトル測定を行い,ドメイン融合に伴う二次および高次構造変化を調べたところ,融合の影響は無視できるていどであった.さらに,これらの試料の誘電分散スペクトル測定を行ったところ,ドメイン融合は大きな水和量変化をもたらさないことが明らかになった.これらの結果から,ドメイン間相互作用によるエネルギー転移によって,各ドメイン内で側鎖間相互作用の量的変化が誘発され,不安定なドメインはより安定に,安定なドメインはより不安定になるがことが示唆される.
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