研究概要 |
20Sプロテアソームは、高等動物のみならず、植物、古細菌、酵母に至るまで広範囲な生物種に存在しており、沈降係数20S,分子量約75万の巨大な分子でありその形状は円筒形の粒子である。この粒子は古細菌を除いてヘテロな14種類のサブユニット2組から構成され、α1-α7、β1-β7の組み合わせであり、それらがリング上に会合して、積みあがったような構造をしている。26Sプロテアソームは、20Sプロテアソームに可逆的に調節因子蛋白質群が会合した分子集合体であり、ATP依存的にポリユビキチン化された蛋白質の分解を行う。分解機構の本体である20Sプロテアソームの全立体構造を明らかにした。免疫応答系が存在しない酵母の20Sプロテアソームとの各サブユニットの比較では、牛肝臓に特徴的な立体構造上の差異が見られた。さらにタンパク質分解機構としてβ7サブユニットのN104、T1,D59、R99およびβ1サブユニットのY88残基が協調的に加水分解する機構を提案した。免疫型プロテアソームでは、これらβサブユニットの「入れ替わり」が必要であるが、これがいかにして起こるのか、非常に興味深い問題として残る。 またタンパク質分解カスケードのうち、ユビキチンを付加する酵素E1,E2についての構造解析を行った。E1についてはSPring-8-BL41XUでの回折実験の結果、分解能12Åと低角ながら回折反射を得ることができ、その格子長は1軸104Åであることが明らかとなった。E2については25kフラグメントを大腸菌発現系で得て結晶化を行った。SPririg-8、BL41XUでの回折実験の結果、結晶学的データは、a=38.055,b=32.971,c=136.434 Å,空間群P2_12_12_1と求められた。
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