研究概要 |
本研究では、正常動物と各種遺伝子変異動物における脳の形成過程を主として形態学的な面から解析することによって、脳の形成メカニズムを明らかにしようとしている。現在まで得られた主な結果は以下の通りである。 1)正常ラット胎仔で鼻プラコードから脳への細胞移動経路において、カルビンジンD-28kとN-シンデカンが発現することを初めて明らかにした(Toba et al.,2001;2002)。 2)転写調節因子Brn-2、Nkx2.1、Pax-6をそれぞれ欠損する遺伝子変異動物において、視床下部神経分泌ニューロンの発生と神経路形成が異常になることを見いだした(Kawano et al.,2002)。 3)転写調節因子Brn-1とBrn-2の二重遺伝子ノックアウトマウスにおいて大脳新皮質の形成が異常になることを明らかにした(Sugitani et al.,2002)。 4)転写調節因子Pax-6を欠損する突然変異ラットにおいて延髄前小脳核ニューロンの移動が遅延し、また移動経路が異常になることを発見した(Horie et al.,2003)。 5)転写調節因子Nkx2.1の遺伝子ノックアウトマウスにおいて、中脳ドーパミンニューロンの上行性神経路が異常になることを見いだした(Kawano et al.,2003)。 6)神経接着分子NB3の遺伝子ノックアウトマウスで運動機能障害が起こることを見いだした(Takeda et al.,2003)。
|