研究概要 |
シナプス後部にmRNAが局在する遺伝子(Dem遺伝子)を網羅的に同定しようとするプロジェクトにおいて発見した新規の遺伝子について,完全長cDNAのクローニングとそれらの性質,および機能解析を進め,以下のことを明らかにした. 1.synUSP : cDNAの全長は5378bp.1036アミノ酸をコードするORFを持つubiquitin-specific protease (USP) familyに属する新規遺伝子である.USP活性を有していた.mRNAはdendriteに局在する.two hybrid法により,選択的に相互作用するタンパク質を同定した.何度かのトライののち,良質の抗体を作成することができた. 2.synArfGEF : cDNAは5292bp.939アミノ酸をコードするORFを含む.exchange factor for ARF6(EFA6)familyに属する新規遺伝子。C末端でPSD-95,SAP97などと結合.特異抗体を持ちい,タンパク質の発現部位をラット脳で明らかにした. 3.ssLRP : cDNAは約6.8kbp.コードされるタンパク質は膜貫通ドメイン1個を持ち,複数のEGFリピート等を持つ新規遺伝子で,エンドサイトーシスされるレセプタータンパク質をコードする.mRNAはdendriteに局在する.C末でPSD-95,SAP97と結合した.免疫組織染色で神経細胞の樹状突起に局在した.ligandを同定するための道具として,LRP null cellへのssLRP stable stransformantの作成を試みたが,合成されたssLRはtrans Golgiでトラップされて細胞膜にうまく組み込まれなかった。引き続き別の方法でligand同定を行う計画である。 4.他のDemである,TANCとp55Lの完全長遺伝子をクローニングし,Pull-down法により,結合タンパク質を同定した。引き続き,免疫共沈法などを用いて結合タンパク質を明らかにする計画である。両タンパク質ともに,抗体を作成した。 synUSPとssLRPについては,ノックアウトマウスを作成して,さらに生理機能,病態との関連を明らかにすべく計画している。
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