研究課題/領域番号 |
13680842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 東京大学 (2002) 京都大学 (2001) |
研究代表者 |
尾藤 晴彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291964)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | Rho / mDia / 小脳顆粒細胞 / 軸索 / 突起伸展 / calcim / Camキナーゼ / CREB / calcium / CaMキナーゼ / actin / シナプス / 成長円錐 / 突起進展 |
研究概要 |
1)Rho標的分子mDiaの軸索伸展における役割の解明 神経回路網におけるシグナル伝達分子の空間的制御の背景には、細胞膜や分子局在の非対称性を生み出すダイナミックな細胞骨格再編成が存在するが、その詳細は明らかではない。そこでわれわれは、最も数多く存在する神経細胞である小脳顆粒細胞に着目して、まず極性が生じ、2本の軸索がまず伸展し始め、その後に細胞体周辺に数多くの樹状突起が発生する過程で、低分子量G蛋白質Rhoを介したシグナル経路の役割を探索した。 マウス生後一日令小脳より小脳顆粒細胞初代培養を起こし、Lipofection法による遺伝子導入により、試験管内軸索形成・突起伸展におけるRho標的分子ROCK、mDiaの機能解析を行った。その結果、変異体cDNAのトランスフェクションにより、1)ROCKのRho結合キナーゼとしての活性を阻害すると軸索形成が促進され、成長円錐ダイナミクスが亢進すること、さらに2)mDia1は、Rho下流のアダプター分子として軸索形成・突起伸展を促進させる活性を有することが明らかになった。これらの実験の結果、細胞骨格再編成による軸索伸展にはRho GTPaseの下流にある複数のエフェクターの協調が必要であることが示唆された。これらの解析を発展させることにより、分化神経細胞を目的部位に移動させ、軸索伸展やシナプスを促進させるという、生理的分子機序に基づく機能的な神経再生という新たな治療戦略が期待できる。 本成果は、J. Cell Biol.誌に印刷中である。 2)新規CREBキナーゼ候補遺伝子CLICK-IIIの同定・クローニング 転写因子CREBは、記憶学習などの長期的現象の際に遺伝子発現を介して神経細胞における長期的な変化を誘導すると考えられている。CaM kinase IV類似の新規CREB kinaseのクローニングを試みCREB kinase候補遺伝子CLICK(CaMK-like CREB kinase)-IIIを同定し全長塩基配列を決定した。CLICK-IIIはin vitroにおいてCa2+/CaM依存性に活性化され、CREBSer133をリン酸化することを明らかにした。興味深いことにCLICK-III mRNAは神経系で強く発現しており、脳内では大脳辺縁系、間脳の限られた神経核で特に多く存在することがin situ hybridization法により明らかとなった。このような発現パターンは他のCaM kinaseと異なっており、高次脳機能における新たな働きを担っている可能性が示唆される。 本成果はJ. Biol. Chem.誌にてrevise中である。
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