研究概要 |
申請者らはmRNA differential display法、suppression subtractive hybridization技術に基づいた新しいsubtractive library作製により(PCR-Select cDNA subtraction法)、レプチンが視床下部で制御しているであろう遺伝子群の単離を試みた結果、マウス視床下部においてレプチンにより誘導される新規の転写因子の一部を得た。この転写因子の断片をプローブとしてマウス悩から作成したcDNA libraryより全長cDNAがクローニングを試みた結果、約95%のcDNAを得た。残りの部分については5'-RACE法を行うことにより全長cDNAをクローニングした。レプチン静脈注射後、30分、1時間、2時間後のマウスの脳をin situ hybridization法により検索した結果、1時間後、2時間後に弓状核においてこの遺伝子の発現を認めた。さらに、最低、6種類のスプライシングアイソフォームが存在することが確認され、現在、その機能について検索中である、また、レプチン投与のプロトコール決定の前実験としてマウスを48時間の絶食下においたところ、Erkのリン酸化の増強が視床下部弓状核及び室傍核において認められた。p38やJNKなどのリン酸化はみられなかった。ところが、ob/obマウスでは逆に絶食によりErkのリン酸化が減少した(投稿準備中)。さらに、STAT75Aのdominant negative formを3T3-L1細胞に発現させることにより、脂胞の誘導が阻害され、脂肪細胞の分化におけるSTAT5Aの新しい役割を見い出した(Nanbu-Wakao R, et al., Mol. Endocrinol.,16:1565-1576,2002)。現在、STAT5Aのdominant negative formを脂肪特異的に発現したトランスジェニックマウスを用いて、悩視床下部に及ぼす影響ならびに脂肪萎縮性糖尿病との関わりについて検索中である。
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