研究課題/領域番号 |
13680874
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
調 恒明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50179058)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 神経軸索ガイダンス / トランスジェニック / 新規膜分子 / ケモカイン / SDF-1 / アンチセンスDNA / 遺伝子機能ノックダウン / 神経 / 発生 / 膜タンパク質 |
研究概要 |
ヒトの神経系は1000億個の神経細胞とその10倍のグリア細胞からなる。神経細胞は、極めて多様であり、個々の神経細胞が発生過程でそれぞれ特異的な標的細胞にシナプス形成することによって高度な神経活動を可能とする神経ネットワークが構築される。そのネットワーク形成の分子機構には未解明の部分が多く、この解明が、神経系構築の仕組みを理解するため、またそれに基づく神経疾患の治療法の開発に不可欠である。 本研究では、ゼブラフィッシュをモデル動物として、神経ガイダンスの分子機構を明らかにすることを目的として研究を行い、新規の膜分子CUBLを見いだしその機能を明らかにした。またケモカインとして知られていたSDF-1が、神経ガイダンスに必須であることを示した。 1.新規膜分子CUBLの機能解析 ゼブラフィッシュの底板特異的に発現する分子として同定した分子の解析を行った。この分子は、中脳、後脳の底板と、中脳の背側正中に発現していた。また、中脳背側に特に強く発現する組織があり、これはposterior commissural (PC) neuronの軸索が交叉する部分の直下にあることがわかった。したがって、この分子はPC axonの通り道に発現していることになる。この分子は375アミノ酸からなるI型膜タンパク質であり、これまで報告のない構造を持つ新規の膜タンパク質である。この分子は細胞外にCUBドメインとLDL受容体リピートドメインを持つことから、CUBLタンパクと名付けた。これらのドメインはいずれもタンパク間相互作用に関与する配列であり、新規の受容体であると考えられた。CUBLの機能を明らかにするために、熱ショックタンパク質の下流にCUBLのcDNAを繋いだ発現ベクターを構築しトランスジェニックの個体を得た。このゼブラフィッシュに37℃で1時間熱ショックを与えると全身にCUBLタンパク質を発現するようになる。こののち、PC axonの走行を観察したところ、軸索の走行に乱れが生じた(defasciculation)。このことからCUBLタンパク質は特定の神経軸索の走行をコントロールする活性を持つと考えられた。 2.モカインSDF-1の視神経ガイダンスにおける役割 SDF-1が免疫細胞だけでなく、発生過程で広く神経系に発現していることを見いだした。特に網膜神経細胞の神経軸索(視神経)の通り道である、optic stalkに発現しており、その受容体CXCR4は網膜神経細胞自身に発現していた。
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