研究概要 |
ネコをパネルに向かって立たせ、このパネル中央に投射した光点を注視さた状態から光点を動かし、これに指向させる。このとき光点をramp状に動かした場合には、光点の移動速度を手がかりにする速度誘導型指向運動が、光点をstep状に動かした場合には光点の位置を手がかりにする置誘導型指向運動が誘発されることを昨年示した。今年度は頭の指向運動を制御する上丘と橋・延髄網様体からニューロン活動を記録して,運動との対応関係を調べた。 1、速度誘導型指向運動の特徴は(1)運動の潜時が50-80msと短い、(2)その最大速度は500度/秒(50度の振幅の時)と速く、その至適移動視覚刺激速度は300-600度/秒で、3)これ以外の刺激速度では指向運動の潜時の延長と速度の減少し、多くの場合振幅も減少し目標に到達できなくなる、ことである。 2、位置誘導型指向運動の特徴は、(1)運動の潜時が150-300msと長い、(2)最大運動速度は速度誘導型の約半分である、ことである。 3、上丘ニュロンはramp刺激に対して潜時約30ms、活動は刺激時間に比例して応じた。スパイクの発火頻度,発火総数は刺激速度が300-600度/秒の時最大になり、それ以外では減少した。Step刺激ては、スパイクの発火総数は著明に減少したが潜時は同じであった。 4、橋・延髄網様体には(1)ramp刺激にのみ応じるニューロンと、(2)stepとramp刺激の両方に応じるニューロンがあった。前者は頭の運動と同じ至適刺激速度での刺激で最短潜時で、短いバースト状の高頻度発火をし、これ以外の刺激速度では頭の運動に対応して、発火頻度の減少t発火時間の延長が見られ、これらのニューロン活動により運動がよく説明できた。
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