研究概要 |
申請者らはこれまでの研究結果を基に骨類似マトリックスかの骨再生因子の一つである亜鉛などの生体内必須微量金属の細胞分化における役割に着目し,これらを骨組織近傍あるいは骨随腔に亜鉛を放出することにより骨細胞を分化誘導し骨再生を活性化すること目的に生体薬理活性を持つ材料として開発された亜鉛含有β3リン酸カルシクム(ZnTCP)は骨再生を促進する人工骨材料として注目されているZnTCPを単独あるいは,コラーゲンあるいは合成高分子などと混合し粉砕することによりナノレベルの微粒子化が有機物マトリックスに分散した複合化ZnTCPを調製することを目的に以下の研究成果を上げてきた.まず,アパタィトセメントと合成生体親和性ポリマーであるBisGMAを練合し,抗生物質セファレキシンを徐放化する骨セメントを開発し,ラット体内に埋め込み薬物徐放化と生体親和性を評価し,有機・無機複合化の薬物徐放化に対する影響を示した.また,ZnTCPの微粒子化を生理食塩水などに分散し懸濁化することにより亜鉛徐放化するインジェクタブルZnTCP注射剤を用いることにより骨粗鬆症患者の骨再生能を促して,自家骨を再生できる可能性がある.準安定形β3リン酸カルシウムに1-20mol%の亜鉛を溶融し種々の濃度の亜鉛を含有するZnTCPを調製した.このZnTCP粉末を遠心ボールミルによりメカノケミカル処理を行い,ナノレベルのZnTCP粒子が縣濁液中に分散しマイクロメータレベルの粒子が分散する注射剤を調製した.これらの準安定型リン酸カルシウムは,アパタイト結晶への転移により徐々に亜鉛を放出した.これらのin vitro溶出特性と調製の処方との関係を検討した.本薬物送達システムを骨粗しょう症病ラットに複合粒子懸濁液を適用し,複合体粒子径,分散ナノ粒子径,分散度,溶液分散性,亜鉛溶解速度,カルシウム放出速度,リン酸放出速度などのin vitro溶出特性とIn Vivo複合粒子の薬物放出挙動は,良好な薬物放出特性を示した.また,亜鉛の治療効果を定量的に把握するためにアルカリフォスファターゼ活性,骨密度の測定を行い,これらの亜鉛による影響を検討した.
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