研究課題/領域番号 |
13710068
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡部 幹 京都大学, 総合人間学部, 助手 (40241286)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 社会的交換 / ネットワーク / 公正分配 / 公平 / 信頼 / 社会的ジレンマ / 共感 / 最後通牒ゲーム / 協力 / 独裁ゲーム / サンクション |
研究概要 |
社会的交換ネットワークの変容とその規定要因となる心理的特性--公正感と信頼感--に焦点を当てた実験研究を行った。 社会的交換状況において不公正分配をされた者が、その状況から脱出しようとする傾向を持つこと、そしてそれによりネットワーク構造全体が変容しうることを確かめるための実験を行った。20名程度の実験参加者がコンピュータを介して、資源の取引を行うという状況を作る。この実験では、すべての参加者が相手に対して不利になるようにあらかじめ設定されており、参加は必然的に、取引相手から搾取され、不公正な分配を受け入れなくてはならない状況におかれる。実験では、このような状況にいる参加者が、公平な分配を受けている場合に比べ、コストをかけてでも取引相手からの離脱を望むかどうかを検討した。予測通り、不公正な分配を受けた参加者は、公正な分配を受けた参加者よりも、交換状況から脱出する傾向の強いことが示された。この結果は、2002年12月に米国で行われた研究会にて発表され、その際の議論をもとに、現在、結果のより詳しい分析を進めている。 また、不公正・公正な分配そのものを左右する心理的要因を探るために、最後通牒ゲームと独裁ゲームを用いた研究を行った。これらのゲームは、見知らぬ他者と自分との報酬分配に関するもので、公正な報酬分配を行う者に特徴的な感情や行動傾向との関連性を調べるために、日本人被験者を用いた実験が行われた。この結果、「他者一般への共感能力」の高い者が自発的な公正分配を行う傾向の高いことが見出された。この結果は、2001年8月のアメリカ社会学会、2001年10月の日本社会心理学会にて報告された。 この他にネットワーク変容に影響を及ぼすもうひとつの規定要因である信頼感について、その醸成に関する実験研究も行われた。この理論的概要と結果は、土木学会誌および2002年の日本社会心理学会にて報告されている。
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