研究課題/領域番号 |
13710090
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 名古屋大学 (2002) 追手門学院大学 (2001) |
研究代表者 |
杉村 和美 名古屋大学, 発達精神科学教育研究センター, 助教授 (20249288)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | アイデンティティ / 関係性 / 初期成人期 / 女性 / 職業 / 性役割 / 縦断研究 / 人格発達 |
研究概要 |
本研究は、アイデンティティ探求における自己と他者の関係の認識という「関係性」の観点からアイデンティティをとらえている。「関係性」には、自己と他者の視点を認識できないレベル1から、両者の関係を認識するレベル4を経て、両者の間に食い違いが生じ、相互調整によって解決するレベル6までが設定されている。今回は、大学を卒業して社会人となった初期成人期の女性に焦点を当て、大学から社会への移行に伴い、青年期に形成したアイデンティティがどのように再構成されるのかを検討した。対象者は、国立大学教育学部を卒業して5年目の女性22名(26〜28歳)で、大学卒業時に関係性のレベルが測定されている。彼女らに面接調査を実施し、関係性のレベルを評定するとともに、変化の要因を特定した。アイデンティティの領域は、職業、友情、結婚、性役割、親になること/子育て、家庭と仕事の優先の6領域であった。 ここでは、大学卒業時と比較可能な3領域(職業、友情、性役割)の結果を報告する。領域別に、関係性のそれぞれのレベルへの移入および移出の頻度の偏りを検討した結果、職業領域でレベル6への移入、性役割領域でレベル3(他者の視点をコピーする関係性)への移入が、それぞれのレベルからの移出よりも有意に多く見られた。最も主要な変化の要因は、職業で経験される問題(企業哲学への不適合感、職場内での自己の存在意義への疑問、自身の人生の目標と職場で達成できることのズレ、働くことの予想以上の厳しさなど)であった。これらの問題に直面した際、職業領域では新たな関係性を再構成しようとするのに対して(レベル6への移行)、性役割領域ではアイデンティティの探求を控え、両親の持つ伝統的性役割観を受容する(レベル3への移行)という興味深い対比が見られた。この結果から、高学歴の初期成人期女性には職業的要因が非常に重要であるが、一方でそれがレベル発達の促進にも抑制にも寄与することが示唆された。
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