研究概要 |
平成14年度においては前年度に引き続き,中国で用いられている「粗就学率」の考え方に沿って,専科課程及び本科課程における,国が承認する高等教育修了学歴の取得ルートについて整理をおこなった。 本年度は第1に,中華人民共和国成立から現在までの期間における中国高等教育システムの変遷(拡大の過程)を,主として法規にもとづきながら整理した。第2に,システムを構成する機関や制度を個別に取り上げて検討した。そのうち成人高等教育機関に関しては,機関のタイプによる拡大の違いを検討した。この点では特に,普通高等教育機関に在籍する成人高等教育に分類される学生の増加が顕著な特徴であることが明らかになった。また,これまでわが国ではほとんど検討対象とされてこなかった軍事高等教育機関や広播電視大学「登録視聴生」制度も対象とし,概要や拡大の状況を検討した。これ以外の機関,制度についても,資料の収集をふまえて,できるだけ具体的な統計データにもとづきながら,各ルートの拡大状況を検討した。第3に,これらの検討をおこなう過程で,関連する主要法規の訳出をおこなうとともに,1993年から2001年にかけての普通高等教育機関の合併・編入状況を図表の形式で整理した。 以上の研究を通じて,現在の中国における高等教育システムを構成する機関,制度の基本的な状況とともに,文化大革命終結後今日までの約20年間におけるそれぞれのルートの拡大状況が明らかになった。 これらの研究成果は,報告書『中国における高等教育修了学歴の取得ルートの多様化に関する研究』としてまとめた。
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