研究課題/領域番号 |
13710225
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 愛知県立大学 (2002) 札幌国際大学 (2001) |
研究代表者 |
高井 由香理 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (00316283)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 越境(トランスナショナル) / フランス系カナダ / 日本 / 移民 / 国境 / ジェンダー / 人種 / トランスナショナル / フランス系カナダ人 / 日本人移民 / 女性 / 労働 / 人口動態 |
研究概要 |
本研究「越境する移民たち」は、20世紀初頭に「出現」したカナダ・アメリカ合衆国間の国境の絶対性を問い直し、その南北への移動を行なった人々にとって国境が持った意味を問い直す上で必要とされる、実証データの収集と分析を行なった歴史学の視点からの研究である。具体的には、フランス系カナダ人の合衆国への移動(主として北米大陸東部のケベック・アカディア地方からニューイングランド地方への移動)に、大陸西端における日本人移民の移動(カナダから合衆国の太平洋岸地域)を重ね合わせ、両者をケース・スタディとして詳細に分析するものである。そうした分析からは、20世紀初頭にみられた移民たちの越境・移動・移民という行為が、加米国境の歴史性と無関係に行なわれたわけでも、あるいは国境の存在を無為化したわけでもないこと、むしろそうした頻繁な移動が国境を創造し、強化するのに重要な役割を果たしたのではないか、という新しい洞察が生まれた。このことは、北米の両国民国家、特に合衆国が、合法・非合法入国者を管理・規制する目的で一連の国境警備を強化し、またカナダに対して同様の規制を強制・誘引するなかで、この時期に実際的な意味での加米国境が創出されていったといいかえることもできるだろう。さらに本研究では、加米国境出現の歴史性を照射するなかで、国境を越えた移民たちのネットワークがどのような人々によって形成されていたのかを、人種、ジェンダー、そして両者を反映した移民規正法との関わりから分析している。これらの分析によって、本研究では先行研究にみられたトランスナショナルな移動のナショナルな分析と歴史記述が国家建設への貢献の可否の視点からなされる傾向を批判し、マイノリティ集団の移動を北米大陸の空間に新たに位置付け直す作業を目指している。
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