1.韓国の大学博物館、国立博物館、文化財研究所等で刊行されている三韓(原三国)時代の墳墓に関する発掘調査報告書をもとに、前年度作成したデータベースの補完を行い、ほぼすべての墳墓データベースを作成することができた。データベースの項目としては、所在地、調査年、墳丘(形状、規模)、埋葬主体部(型式、規模、主軸方向、頭位、構造)、築造年代、副葬品配置、副葬品種類(装身具、鏡、武器・武具、車馬具、農工具、漆器、金属容器、土器)、参考文献等を抽出し、これらをデータベース・ソフト(MS. Access2000)へ入力した。また、図面・写真等に関しては、墳墓ごとにカード化した。現在、墳墓データは約700基に達しており、今後も継続して新データを追加していく予定である。 2.データベース化した資料を地域ごとに検討し、編年作業を行った。その結果、各地域ともにおおむねI期(紀元前2世紀後葉〜紀元前1世紀前葉)、II期(紀元前1世紀中葉〜後葉)、III期(1世紀前葉〜中葉)、IV期(1世紀後葉〜2世紀中葉)、V期(2世紀後葉〜3世紀中葉)に編年できることが明らかとなった。 3.これら三韓の編年体系をもとに、墳墓の変遷過程、副葬品(とくに武器・武具)の変化と階層分化との関係、さらに当時の日本列島(弥生時代後期〜古墳時代前期)における墓制との関連性などについて考察を行った。その成果については、「韓国南部地域-木槨墓の出現・変遷過程を中心に-」(日本考古学協会2002年度橿原大会)および「加耶の武器組成-原三国〜三国時代前期を中心に-」(第4回古代武器研究会)として学会発表を行った。また、本研究で作成したデータベースについては、将来的にWeb上で公開することを予定している。
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