研究課題/領域番号 |
13710231
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨井 眞 京都大学, 文学研究科, 助手 (00293845)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 使用痕 / 石皿 / 礫石器 / ライフヒストリー / 磨滅 / 破損 / 多段階表面変化 / 管理的 / 顕微鏡 |
研究概要 |
平成14年度は、北白川追分町遺跡出土の石皿を中心とした礫石器の観察を基に、その利用体系を解釈し、また、同遺跡出土の剥片石器の利用体系とも比較を行った。その結果、石器の管理度・消耗度は石材の搬入の難易度が決定する可能性がある、という展望を得た。以下に、石器の基礎的な観察結果と利用体系についての解釈を略記する。 石皿 機能面は使用による磨滅・光沢が破損面際まで著しいので、欠損は磨滅形成後である。破損面の観察によれば、意図的に壊された痕跡を力学的に見出し易いものは多くない一方、複数の破損面において多段階表面変化が確認できることが多いので、破損面形成は断続的である。固定の要求される石皿の側面は支持による磨耗が生じやすいので、破損している石皿の多くは、機能的な法量限界点まで使用され続けた結果と言える。石材産地との距離や残存する大型品の重量を考慮すれば、集落内やその作業場への搬入の労働負荷は高い。従って、出土する石皿の様相や原石産出地点との距離によって、その遺跡の利用度、ひいては定住度ないし定着度がうかがい知れる可能性がある。 磨石・敲石 石材産出地が近くで、遺跡からは完形品こそ少ないものの破損面の少ないものが多く多段階表面変化もほとんど確認できない。重量・用途を考慮すれば、集落内で使用し、機能的限界を超える過小法量に至る以前に破損等によって廃棄された。 剥片石器 チャートとサヌカイトがある。前者は石材産出地が近い。チップの出土は殆どなく製品の占める割合が高いが、絶対量が少なく5cm以下の小型品に限られる。集落外で製作後、稀に集落内に道具として搬入された。一方サヌカイト石器は、石材産出地が遠い。チップの出土が多いので製品の占める割合が低いが絶対量は多く、剥片も5cm以上のものも目立つ。最大で小児人頭大の原石の搬入後、集落内でも製作・管理を行った。
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