研究課題/領域番号 |
13710249
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国語学
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
矢田 勉 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (20262058)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 平仮名 / 旧仏教寺院 / 書記体 / 文字意識 / 日本語書記史 / 守覚法親王 |
研究概要 |
本研究は、女性社会を中心に用いられてきたという先入観の強い、中古・中世期の平仮名について、それが必ずしも正しい見方ではなく、当時の旧仏教寺院に於いても平仮名が使用される一定の領域があったことを実証的に示すことを第一目的としたものである。そのために、二年度に亘って、主として高山寺・仁和寺・大通寺等を中心とする畿内地方の真言宗寺院経蔵に所蔵される典籍文書類の調査を行った。中世文書に於いて、地方文書のみならず、寺院文書に就いても多くの仮名文書を含むことは既に知られる所であり、旧仏教界と平仮名文化との接点の一端がそこに窺われる。しかしより重要なことは、それと同時に、守覚法親王の編になる『野決』『野抄』など、真言宗の教相そのものに関わる典籍に平仮名交じり文という書記様式によるものがあることで、それは、平仮名が真言宗寺院の、それも教学活動に於いて常用の文字の一端を担っていたことを示すものとして重要な事象と考えられることを「仮名文とは何か」(『国文学』46-2)に於いて指摘した。これら典籍と、俗家にあっての『中外抄』・『殿暦』などとの書記体の類似をどのようにとらえるか、また新仏教に於ける平仮名の受容と旧仏教寺院に於ける平仮名使用との関係などは、今後引き続き考察すべき問題点である。 加えて、天台宗寺院、取り分け青蓮院と関連の深い書道伝書に於ける文字意識のあり方の一端を「『夜鶴庭訓抄』の「イロハガキ」について-「書記史資料としての書道伝書」試論-」(『白百合女子大学研究紀要』38)にまとめたのをはじめ、平仮名と旧仏教寺院との周辺的な関係性についても、各地の図書館等所蔵資料により調査し、現在資料の整理と考察を行いつつある。
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