研究課題/領域番号 |
13710276
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 卓 金沢大学, 教育学部, 助教授 (10293325)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 19世紀 / 南海 / 南太平洋 / ジェンダー / イギリス文学 / 英文学 |
研究概要 |
今年度は前年度に行ったイギリス文学の作品読解とダーウィン以降の南海に関する思想的潮流の整理を発展させ、文学では同時代のアメリカ文学作品、歴史・思想についてはダーウィン以前の航海記と19世紀末の人類学的思考までを視野に入れて研究した。19世紀中葉以降のイギリスに限定せず、より広範な地域・歴史的視座に立つと、南太平洋のジェンダー表象に関するイギリス文献の特異性が浮かび上がる。ブーガンヴィルが詳細に記録し、メルヴィルが文学作品によって再生産する船員とポリネシア女性との間の性的な言説は、クックの航海記やバランタインの物語においてはそのエロティシズムが極力排除され、代わって未開人に対するキリスト教倫理観の必要性という別のコンテクストに置換される。しかし、19世紀の南海に関する博物学的文献の出版ブーム、さらには19世紀末の比較人類学の登場に伴う南海認識の変遷において、南海女性のジェンダーを各時代に通底する差異化の記号として解釈するとき、上に挙げたイギリスのテクストの特異性は、南海像の変異体の一つとして扱うことが可能になる。とりわけダーウィン=フロイトの思想的系譜の中で前景化する「西洋人男性に分析される女性」としての南太平洋の地位が、メルヴィル、バランタイン、そしてスティーヴンソンと続く19世紀の南海文学作品に共通する、異人種の差異化のレトリックと緊密に連動することを今年度の研究で確認した。以上の研究成果は、2002年10月の日本英文学会中部支部大会において発表し、目下論文を作成中である。しかしながら今年度の研究では英米以外の文学作品や歴史資料を扱うととができなかったため、それらは今後の研究課題としたい。 資料収集に関しては、国会図書館に2回赴き、19世紀末の南太平洋に関する文献や日本における南海像の資料収集を行った。その結果、今後の研究に寄与する有益な資料を多数得ることができた。
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