研究課題/領域番号 |
13710277
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 智之 名大, 文学研究科, 助教授 (20241739)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 主語 / EPP / 他動詞 / 非対格動詞 / 叙述 |
研究概要 |
今年度は、主に現代英語や英語史の事実に基づいて、主語の分布と認可に関して研究を行った。まず現代英語においては、他動詞文の主語が義務的にvPの外部に移動するのに対して、非対格文の主語はthere構文においてvP内の基底位置に留まることが可能である。一方、古英語と中英語においては、他動詞文の主語の分布は現代英語と同じであるが、非対格文の主語はthere構文以外の文脈においてもvP内の基底位置に留まることが可能である。このような歴史的変化については、動詞第二制約が働かない従属節の例をペンヘルシンキ・コーパスから収集し、分析することによって確認することができた。現在までの結論は、「他動詞文は叙述を表すが、非対格文は提示を表す」という意味的・機能的特徴付けに基づいて、主語の移動を誘引すると一般に仮定されているEPP素性を再定式化することにより、上記の歴史的変化が説明されるというものである。具体的には、まずEPP素性を音韻素性と叙述素性という、それぞれPFとLFというインターフェイスに関連する2つの素性に分割する。そうすると現代英語においては、叙述素性を含む他動詞文の主語はそれを満たすためにvPの外部に義務的に移動するのに対して、それを含まない非対格文の主語はvP内の基底位置に留まることができ、その場合にはthereが音韻素性を満たす。一方古英語と中英語においては、「豊かな」動詞屈折が動詞移動によって音韻素性を満たすので、there構文でなくても非対格文の主語はvP内の基底位置に留まることができる。以上の研究成果は、雑誌論文以外にも、日本英語学会第19回大会シンポジウム(2001年11月11日、東京大学)において既に発表済である。
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