研究課題/領域番号 |
13710305
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 雅之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30313159)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 漢語(中国語) / 粤語(広東語) / ピジン英語 / 中国・華南の言語接触 / 華人の英語習得 / 対音資料 / 文体 / 香港研究 |
研究概要 |
1.今年度に行った研究によって得られた成果 今年度は平成13年度に引き続き、言語接触に関する文献調査を行った。具体的には9月に聖書図書館(英国。ケンブリッジ大学内)と大英図書館(英国)において、それぞれ「漢語方言訳聖書」と「英華対音資料」の調査を行った。この文献調査において漢語方言訳聖書のa.文字表記のシステム;b.文体、の2項目について興味ある特徴が確認された。 方言訳聖書に漢字表記版とローマ字表記版の2種類が存在する事実は、漢語方君が当該社会において文字表記の標準化が進まなかった背景と関連付けて、以前より説明がなされてきた。しかし、漢字表記版には文字表記と文体に関してA.方言字を積極的に創造・使用した言語;B.文字表記が社会的認知を得ていなかった形態素を訓読により「当て字」表記した言語、の2種類に大別可能であることが確認された。前者には粤語(広東語)が、後者には〓南語潮汕片(潮州語)が属するが、梅県の客家語のように時代によって前者から後者へ移行した言語も確認された。これらの差異は当該社会において後に現地語の書記言語化が順調に構築される素地が備わっていたか否かを判断する上で重要と考えられる。 一方で、昨年度(平成13)の成果の一部分を学術論文「音韻変化と粤語研究・広東語教育」として公表した。この論文の後半では潜在的な音声・音韻要素の扱い方を巡り、19世紀後半よりなされてきた処理の仕方の変遷を、漢字音体系と言語音体系という言語観の違いを軸に論じた。今後は文字表記の扱いに焦点を当て、その19世紀以降の変遷を論じるべく、今年度に得られた成果も含めて、学術論文「漢語周辺域と方言字形--文字体系の言語接触」(仮題)として準備中である。 2.今後の課題と展望 今後は第二次世界大戦以降、特に1950-60年代の香港で現地語の書記言語化がいかに構築されていったかを、社会・メディア・文芸などに即して詳細に解明することが求められる。
|