研究課題/領域番号 |
13720008
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 隆司 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (70210573)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 行政裁量 / 衡量 / 判断過程の統制 / 法的対論 / 専門技術的裁量 / 計画裁量 / 科学技術 / 規格 / 行為形式論 |
研究概要 |
本研究では、行政裁量の基本モデルを統一的に、「衡量原則」と「衡量過程の統制」に求めた。つまり行政裁量を、法が設定する行政決定の許容幅として実体的に捉えるのではなく、三段階の「包摂」とは異なる法適用の方法、そして裁判所・行政庁・原告私人の協働・役割分担による法適用のプロセスとして捉えるモデルを構想した。このモデルにおいては、行政庁の衡量過程論証責任および論証権限、そして裁判所における法的対論が重要な意味を持つ。こうした考え方は、日本では伊方原発最高裁判決に、ドイツでは都市計画や公共事業に関する計画裁量の法理に既に現れているが、これまで裁量の一般的・統一的なモデルとされてきたとはいえない。 以上のモデルを基礎に、本研究では次に、行政裁量の有無の識別基準、換言すれば行政裁量の個別具体的な法的根拠を理論的に整理した。大別すると第1に、裁判所の作用と対比される行政作用の性質そのもの、および行政機関と裁判所の権限そのものに基づき裁量が認められる場合として、ミクロの形成的決定とマクロの形成的決定を挙げ得る。マクロの形成的決定は、計画的判断、政治的判断、組織の管理運営に関する判断、そして狭義の配分に関する判断を含む。第2に、関係する利益や情報の性質に適合した決定の組織や手続を行政が形成することを根拠に裁量が認められる場合として、多元的あるいは専門的な合議制機関による決定、試験、和解手続等による決定を挙げ得る。これまで説かれてきた「専門技術的裁量」は、この第2の観点から、関係する利益・情報の特性、行政手続・組織の形状を個別具体的に精査した上でなければ、認めるべきでない。
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